子どもたちは生まれてから、さまざまなアレルギーのリスクにさらされています。これらのアレルギーは、食品や環境、遺伝的要因が関与するとされています。それだけでなく、ママの体内環境を健康に保つことが子どものアレルギー予防に重要な役割を果たすことをご存じでしょうか?
出産時に胎児が産道を通る時や、授乳時の母乳を通じてママが持つ菌情報が子どもに伝わり、これが子どもの健康やアレルギー予防に良い影響を与える可能性があるのです。
1.子どもの喘息とは
喘息はアレルギーの一種で、気道(鼻から気管支までの空気の通り道)が敏感になり、炎症や収縮を引き起こすことで症状が現れる病気です。症状としては咳、喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒューという音)、呼吸困難などが挙げられます。
参考:小児科で診断するアレルギー P3(筑波大学附属病院)
(https://www.hosp.tsukuba.ac.jp/wp-content/uploads/2019/03/20190216_1.pdf)
2.子どもが喘息になる主な要因
アレルゲンの影響
ダニ、ペットの毛、カビ、花粉などのアレルゲン(アレルギーの原因物質)が喘息を引き起こすことがあります。これらに触れることでアレルギー反応が起き、気道が狭くなるなどの症状が現れます
遺伝的要因
喘息は遺伝的な要素が作用することがあり、家族にアレルギー疾患(喘息、花粉症、アトピー性皮膚炎など)がある場合、子どもが喘息を発症するリスクが高まります。
早期の抗生物質の使用
生後間もない時期に抗生物質を使用すると腸内のバランスが崩れ、喘息やアレルギー性疾患のリスクが高まることが報告されています。
参考:Yamamoto-Hanada K, et al. Influence of antibiotic use in early childhood on asthma and allergic diseases at age 5.Ann Allergy Asthma Immunol 2017;119:54-58
(https://www.annallergy.org/action/showPdf?pii=S1081-1206%2817%2930390-3)
※食生活や肥満(参考情報)
小児期の全年齢層において、健康な食生活や肥満が喘息のリスクを高める可能性も示唆さ
れています。
参考:Fainardi V, et al. An Overview of the Obese-Asthma Phenotype in Children. Int JEnviron Res Public Health 2022;19(2):636(MDPI)
(https://www.mdpi.com/1660-
4601/19/2/636)
3.ママの体内環境が重要な理由
ママの体内環境は、赤ちゃんにとって栄養だけでなく体全体の環境を整える役割も果たします。そのため、ママ自身が健康を保つことは大切なのです。
〈ママができる体内環境ケアの例〉
- ・バランスの良い食事:食物繊維が豊富な果物や野菜、全粒穀物を摂取。ヨーグルトや納豆などの発酵食品も取り入れましょう
- ・ストレス管理:十分な睡眠を意識し、少しでもいいのでリラックスした時間を作ってみてください
- ・水分補給:こまめな水分摂取を心がけましょう
- ・軽い運動:毎日のウォーキングなど、無理のない運動を取り入れることをお勧めします
4.離乳食を考えるママたちへ
授乳中のママが気になるのは、離乳食と食物アレルギーの関係ではないでしょうか。食物アレルギーを心配して離乳を遅らせる方もいますが、遅らせることで予防効果があるという科学的根拠はありません。現在では、生後 5~6 か月から離乳食を開始することが推奨されています。
喘息もアレルギーの一種ですので、離乳のタイミングや進め方を考える際、食物アレルギーの予防と同じ視点を取り入れてみてください。
参考:Ferraro V, et al.Timing of Food Introduction and the Risk of Food Allergy. Nutrients 2019;11(5):1131
(hhttps://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6567868/)