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日常の食事と腸活習慣でアレルギーに負けない体質を育てる

私たちの体は、日々の生活の中でさまざまな刺激にさらされています。特に子育て中のママにとって子どもたちの健康は何よりも気がかりだと思います。小学生に上がるくらいまでの年齢の子どもたちは、成長の過程でアレルギーや皮膚のトラブルなどに悩まされることがありますが、それを「一回かかったら治らないもの」と諦めてしまうママ・パパはたくさんいます。もしアレルギー体質を変えられるとしたら、また、体質を育てることができるとするならば、それはどのような方法なのでしょうか。

1.アレルギー発症の原因

子どもたちの健康問題の一つにアレルギーがあります。アレルギー反応は、風邪のウイルスや細菌などの侵入者から体を守るための防御システムが、本来敵ではない普通の物質を誤って攻撃してしまう過剰な反応のことです。アレルギーの発症は、主に以下のような原因があると考えてられています。

遺伝的要因

両親や兄弟姉妹にアレルギーがある場合、その子どももアレルギーを発症する可能性が高くなります。

環境要因

花粉やダニ、ペットの毛、カビなどが多い家や部屋、大気汚染やタバコの煙など空気の質が悪い環境がアレルギー症状を悪化させると考えられています。

生活習慣要因

バランスの良い食事をしない、運動不足である、ストレスが多い、などの悪習慣はアレルギーを発症しやすくなることがあります。

また、アトピー性皮膚炎や蕁麻疹(じんましん)、肌荒れ、喘息などのアレルギーは腸の不調と強く関係していると言われています。腸の中には私たちの健康を守るために働く「善玉菌」と呼ばれる細菌が棲んでいます。普段は悪い菌が増えるのを抑え、腸の壁を強くして外からの敵が入り込むのを防いでくれていますが、調子が悪くなると腸のバリア機能が低下するだけでなく、過剰な免疫反応や炎症を引き起こしてしまうことがあります。つまりこれがアレルギー反応なのです。

2.あきらめるのはまだ早い。体質改善の方法

一度発症したアレルギー体質は、以前は治らないものと思われていましたが、最近の研究によって体の免疫バランスを変えることが体質の改善につながることがわかってきました。

〈栄養バランスの取れた食事を心がける〉

毎日の食事で取り入れたいもの:
色とりどりの野菜をメニューに入れて、ビタミン、ミネラル、食物繊維など、さまざまな栄養が摂れるようにします。また、白米や白パンの代わりに、玄米や全粒粉パンを選ぶなどを試してみるのも良いと思います。

おやつを変えてみる:
いつものおやつを玄米や全粒粉で作られたクッキーや、リンゴ、バナナ、オレンジ、ベリーなどの果物に変えるのはいかがでしょうか。最近では家で手軽に作れる自家製ポップコーンもあり、低カロリーなスナックは子どもたちに喜ばれるかもしれません。

〈腸内環境を改善する〉

水分を十分に摂る:
水分には食物の消化と栄養素の吸収をスムーズにする働きがあります。また、腸の動きを活性化させ、消化された食物の運搬を助けてくれます。

バランスを考えた食事:
特定の食品や成分に偏らないようにしていろんなメニューから栄養を得ることが大切ですが、腸内で活躍している善玉菌の活動を支えてくれる栄養源として食物繊維が入った食べ物も選んでみてください。

その他、子どもたちと公園で遊んだあと一緒にお昼寝をすることもオススメします。「適度な運動と十分な睡眠」を毎日の習慣にすることが体質改善の方法の一つでもあるのですが、これをするだけで、しっかりと動き回ってちゃんと寝ることがワンセットになるからです。

3.コツコツと体質を育てよう!


生活習慣を変えたり腸内環境を整えたりすることで、もちろん個人差はあるでしょうが体質に変化がみられていくはずです。ですが、これらは「一定期間頑張ったから、得られた結果は永遠に続く」というものではありません。スターフィールドクリニック横浜の院長で日本消化器病学会専門医の星野優先生より、「アレルギー体質というのは非常に流動的なため、改善対策は続けていかなければいけません」とのコメントをいただきました。

スターフィールドクリニック横浜 院長・日本消化器病学会専門医 星野優医師
「アレルギー体質の改善は非常に時間や手間がかかります。一時的に投薬などによって症状が落ち着いても「根治」とはならないケースが多いです。スギ花粉やダニアレルギーの場合「舌下免疫療法」という、アレルギーの原因物質であるアレルゲンを少量から投与することで、少しずつ体をアレルゲンに慣らしていき、症状の緩和や根本的な体質改善が得られる治療法が保険適応となっています。また、年齢が上がったり、腸内環境の変化、生活習慣の改善によって、アレルギー体質が変化していく可能性も以前から様々な研究によって指摘されており、気長に継続することが大切であると考えます。

特に乳幼児期に「卵」や「牛乳」、「小麦」などのアレルギーが発覚した場合、親としても途方に暮れてしまう方も多くいらっしゃるかと思います。但し、以前と比べても様々な治療法や対処法も進んでおり、専門医療機関に相談の上、きちんと対処、治療し、年齢を経ることでアレルギー体質が改善する可能性も十分ありますので、まずは小児アレルギーの専門医療機関へのご受診をお勧めいたします」とのこと。体質改善の可能性がさらに広がりそうです。

参考文献:
Yamagishi M, et al. Decreased butyric acid-producing bacteria in gut microbiota of children with egg allergy. Allergy 2021;76:2279e82.

まとめ

体質は「改善して終わり」のものではなく、「長い時間をかけてゆっくり育てていくもの」だということを改めて認識しました。乳幼児期にアレルギーが発症してしまっても、食習慣を見直し、良好な腸内環境を育てていくことで大きな症状改善が見込める可能性も。家族みんなで、気長に少しずつ取り組んでいきたいですね。

監修者

監修:星野 優 医師

医学博士、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本医師会認定産業医

医療法人社団 結樹会 理事長、スターフィールドクリニック横浜 院長
下大学病院勤務時代から消化管(特に大腸)を専門とし、様々な年齢層、疾患への豊富な診療経験を有する。現在も内視鏡検査及び各胃腸疾患に対して専門的な診療に従事。また、産業医として「働く世代」への医療的支援に注力している。

監修者

監修:新藤 貴雄医師

日本泌尿器科学会泌尿器科専門医、日本抗加齢医学会抗加齢専門医

足の静脈瘤クリニック横浜院院長
下肢静脈瘤の症状の回復に貢献するだけでなく、婦人科・不妊クリニックでの経験や知識も併せ持っている。