監修:星野 優 医師
医学博士、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本医師会認定産業医医療法人社団 結樹会 理事長、スターフィールドクリニック横浜 院長
下大学病院勤務時代から消化管(特に大腸)を専門とし、様々な年齢層、疾患への豊富な診療経験を有する。現在も内視鏡検査及び各胃腸疾患に対して専門的な診療に従事。また、産業医として「働く世代」への医療的支援に注力している。
まず、妊娠中は多くの身体的変化が起こります。特にホルモンバランスの変動は腸の動きを鈍らせるので便秘が起こるのです。また、つわりによる食生活の変化や、ストレスによって自律神経が乱れることも便秘の原因として挙げられます。さらに、妊娠中のホルモンは通常よりもリラックス効果をもたらすホルモンの量が増えるため、腸の動きが鈍くなりがちになります。このような原因が重なることによって、つらい便秘につながるのです。
食物繊維の摂取によって便秘対策をしようとしても難しい場合があります。もちろん食物繊維は便秘対策に効果的ですが、妊娠中は食べられるものが限られることがあります。例えば、バナナやマンゴーは食物繊維が豊富ですが、糖分も多いため摂りすぎは望ましくありません。同じく、食物繊維が豊富な海藻類はヨードも多く含むため、妊娠中の過剰摂取は避けたいところです。妊婦さんの場合は胎盤を通過して胎児にヨードが移行し、甲状腺機能低下症を引き起こす危険性があるからです。
また、東京・横浜・札幌・鈴鹿でスターフィールドクリニックの理事長で日本消化器病学会専門医の星野優先生によると、「便秘は腸内フローラのバランスが大切」なのだそうです。
「胃腸は非常に絶妙なバランスで成り立っております。特に大腸は腸内フローラ(腸内細菌叢)のバランスがとても大切で、バランスを崩すことで便秘や下痢の症状が強く出てしまします。つまり、便秘と下痢は表裏一体とも言えます。また、近年脳腸相関といって、腸は第二の脳ともいわれるくらい、人々の感情やメンタルに密接に関連しており、便秘続くことは心身ともに様々な不調の要因となりえます。」(星野先生)
したがって、便秘が解消されない場合は、腸内に毒素が再吸収されるリスクや全身の血流の悪化など、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。これによって肌荒れやむくみ、肥満などの症状が現れてしまうのです。
このように妊娠中は女性の体に多くの変化が起こりますが、その中でも便秘は特に一般的かつ深刻な問題です。今回の記事ではその解決法についていくつかご紹介しました。