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妊婦は絶対便秘になる!? 今からやっておきたい便秘対策

妊娠初期というのは妊婦さんにとって喜びに満ちた時期ですが、体に起こる様々な変化は予期せぬ困難を引き起こすこともあります。特に便秘は多くの妊婦さんが直面する問題の一つ。では、なぜ妊娠中に便秘が頻繁に起こるのでしょうか。

1.なぜ妊娠中は便秘になりやすいのか

まず、妊娠中は多くの身体的変化が起こります。特にホルモンバランスの変動は腸の動きを鈍らせ、便秘を引き起こす一因となります。また、つわりによる食生活の変化や、ストレスによって自律神経が乱れることも便秘の原因として挙げられます。妊娠中のホルモンは、通常よりもリラックス効果をもたらすプロゲステロンの量が増えるため、腸の動きが鈍くなりがちです。食欲を増進させたり、体に水分や栄養を溜め込みやすくする作用もあるからです。これによって、通常はスムーズに行われる消化活動が遅れ、つらい便秘につながるのです。

食生活で便秘対策をしようとしても、次のような事柄により難しい場合があります。食物繊維の摂取によって解決しようと考える方もいらっしゃると思います。もちろん食物繊維は便秘対策に効果的ですが、妊娠中は食べられるものが限られることがあります。例えば、バナナやマンゴーは食物繊維が豊富ですが、糖分も多く、摂りすぎは望ましくありません。同じく、食物繊維が豊富な海藻類はヨードも多く含むため、妊娠中の過剰摂取は避けたいところです。妊婦さんの場合は胎盤を通過して胎児にヨードが移行し、甲状腺機能低下症を引き起こす危険性があるからです。

また、東京・横浜・札幌・鈴鹿のスターフィールドクリニック理事長で日本消化器病学会専門医の星野優先生によると、「便秘は腸内フローラのバランスが大切」なのだそうです。 「胃腸は非常に絶妙なバランスで成り立っております。特に大腸は腸内フローラ(腸内細菌叢)のバランスがとても大切で、バランスを崩すことで便秘や下痢の症状が強く出てしまいます。つまり、便秘と下痢は表裏一体とも言えます。また、近年脳腸相関といって、腸は第二の脳ともいわれるくらい、人々の感情やメンタルに密接に関連しており、便秘が続くことは心身ともに様々な不調の要因となりえます。」(星野先生)

したがって、便秘が解消されない場合は、腸内に毒素が再吸収されるリスクや全身の血流の悪化など、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。これにより、肌荒れやむくみ、そして肥満などの症状が現れることも少なくありません。

2.そんな妊婦にとっての便秘対策

(1)便秘薬

すぐにでも解決したい妊娠中の便秘。その対策方法としてまず思い浮かぶのは便秘薬かもしれません。「妊娠中に薬を飲んでも大丈夫?」という不安を抱える方は多いですが、妊婦にも安全な便秘薬があります。例えば、酸化マグネシウム系の便秘薬は、腸を直接刺激せず、便に水分を与えることで自然に出しやすくする非刺激性の薬です。このタイプの便秘薬は妊婦に処方されることもあり、安全性が確認されています。婦人科・不妊クリニックでの勤務経験もある新藤貴雄先生(足の静脈瘤クリニック横浜院院長)によると、「第一選択は酸化マグネシウムなどの便を柔らかくするタイプです。それでも便秘が治らない時はラキソベロン液などのフェンタニルメタン系の薬剤を選択します。フェンタニルメタン系は便を柔らかくすることと腸管運動促進の2つの作用があります。ただし、大量投与は子宮収縮を誘発するので避けなければなりません。週数で使用が勧められる便秘薬は無いと思います。」

(2)お腹周りのマッサージ薬

お腹周りを優しく「の」の字を描くようにマッサージすることで胃腸の動きを促し、結果として便秘の解消に役立つことがあります。ただ、お腹の中の胎児を強く圧迫しないよう十分に気を付けなければなりません。さらに、安静を要する妊婦や子宮が張りやすい方はオススメできませんのでご注意ください。

(3)サプリメント

薬の服用やマッサージが難しい妊娠中にはサプリメントという方法も視野に入ってくるのではないでしょうか。妊娠中は飲み込む動作が辛い時もありますが、水なしで利用できるタイプもありますので、その点でも安心です。また、便秘対策だけでなく、腸活(腸内細菌を整える活動)も同時に行えるものもあります。これによるメリットは、妊娠期間中の母親の菌質環境改善が胎児にも良い影響につながる可能性があるということです。



まとめ

このように妊娠中は女性の体に多くの変化が起こりますが、その中でも便秘は特に一般的かつ深刻な問題です。今回の記事ではその解決法についていくつかご紹介しました。

監修者

監修:星野 優 医師

医学博士、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本医師会認定産業医 

医療法人社団 結樹会 理事長、スターフィールドクリニック横浜 院長
下大学病院勤務時代から消化管(特に大腸)を専門とし、様々な年齢層、疾患への豊富な診療経験を有する。現在も内視鏡検査及び各胃腸疾患に対して専門的な診療に従事。また、産業医として「働く世代」への医療的支援に注力している。

監修者

監修:新藤 貴雄医師

日本泌尿器科学会泌尿器科専門医、日本抗加齢医学会抗加齢専門医

足の静脈瘤クリニック横浜院院長
下肢静脈瘤の症状の回復に貢献するだけでなく、婦人科・不妊クリニックでの経験や知識も併せ持っている。